AomoriFactory
CASE STUDY
No.2
技術を超えて蓄積される、職人の技。
Tu es mon TRÉSOR
Designer
佐原 愛美
1975年生まれ。 2010年トゥ・エ・モン・トレゾア ( Tu es mon TRÉSOR)をスタート。 2013年よりロンドンのブラウンズで展開をスタート、2015年からパリにてコレクション発表を開始。

「最終的な仕上げは、職人の技にかかっている。」

ブランドを立ち上げた当初から、トレンチコートをデザインしたいと考えていました。
トゥ・エ・モン・トレゾアは時代を超えて受け継がれるパーマネントなもの作りをする為、はじめは世界的に日本の技術がトップクラスであるデニムからコレクションをスタートしました。トレンチコートをデザインする際も、伝統ある専門工場にお願いしたいと考えていたのでサンヨーソーイングに辿り着きました。

トレンチコートはパターン数が多く、それらを縫い合わせることでひとつの形状に仕上がるため、縫製の差はよりわかりやすい形で表れます。
またステッチワークはどんなアウターよりも目立つデザインなので縫製技術を要します。
そして単に指示通りに仕上げるだけでなく、使用する素材の特性を理解する経験値と理想とする完成形をイメージできなくてはいけないのでクオリティはすべて職人にかかっています。
それゆえ、縫製工場はどこでもいいというわけにはいかない。サンヨーソーイングが40年以上に渡り積み重ねてきたトレンチコートをつくる技術は、トゥ・エ・モン・トレゾアにとってまさに必要な職人の技でした。

「蓄積されている技術を、ふさわしい形で活かす。」

ブランド名であるトゥ・エ・モン・トレゾアは、フランス語で”あなたは私の宝物"と言う意味を表します。
時代を超えて受け継がれ、宝物になるようなものをつくりたくてこの名前を付けました。
祖母から母親、そしてその子供と世代を超えて愛されるものとは、まさにトレンチコートのようなアイテムです。

今回、自分がデザインする際、現代の人にとっての着心地をより追求したものにしたいと考えました。
トレンチコートの素材といえばコットンギャバジンが主流ですが、生地が硬くて、シワになりやすいのも特徴です。
継承されてきた品格あるスタイルとディティールは残したまま、動きやすく日々のケアがしやすい機能的なものにしたいと考えました。
そこで、コットンギャバジンに似ているけれど異なる素材で、同じ織目の柔らかく落ち感のある生地を選びました。
ただ縫製の際には何度もスチームをかけるので、縮率の高い生地は圧縮されやすく、高い完成度を維持することが難しいとレポートにはその苦労が滲み出ていましたが、最終的には理想通りに綺麗に仕上げていただきました。
私たちの想いに応えようと挑戦してくださったことに、とても感謝しています。

日本に培われている均一で正確にものをつくる技術は、世界的に見ても突出しています。
この先も受け継がれてきた技術を守っていけるように、それを活かすのがブランドの役割だと思います。

Tu es mon TRÉSOR

「宝物になるような服」をコンセプトに、デニムやミリタリー、トレンチコートなどのスタンダードなアイテムを贅沢に装飾することで、日常着としてのラクジュアリーを提案。