
Patterner
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「サンプルが届いた時、正直驚きました。 想像していたトレンチとは、全く違うものだなと。」−−−戸田

サンヨーソーイングさんとは、2011年からお付き合いをさせていただいています。当時、私たちは少し変わったトレンチコートをつくろうとしていて、縫ってくれる工場を探していました。トレンチはパーツ数も多く、縫製が複雑なので体制が整っていないと工賃がかなり膨らんでしまう。とはいえ品質のこともあるので人づてに紹介していただいたり、とにかく色々な工場にサンプルのお願いをしていました。
「戸田さんの書いたパターンが届いたのですが、よかったら工場と直接やりとりしませんか?」と電話がかかってきたのは、まさにその時です。前職で勤めていた三陽商会の元同僚が、商社を通して届いた僕のパターンを見て連絡してくれたことがきっかけとなりました。当初は始まったばかりのブランドが、大手の工場とやりとりすることは本当に可能なのだろうかと不安もありましたが、サンプルをあげてもらったら良い意味で想像を超えたものが送られてきて、社内で驚きの声が上がったのを覚えています。
自分たちの手で書いたデザインやパターンが、サンヨーソーイングの技術によって形になった途端、今までとは異なる品質が加えられていたのです。それからというものの、サンヨーソーイングさんには色々と無茶なお願いをさせてもらっています。明らかに簡単ではないオーダーにも技術で応えてくださるので、こちらが勉強になることも多くあります。お互いがプロとしてコミュニケーションを取れるので、電話で話すのも面白い。現場の人たちは向上心があって、オーダーをする甲斐があります。自分が想像したよりもさらに良くなって届くので、つくり手として気になるところが“理解されている”という安心感があります。

「良い工場は、ものづくりに 必要な“手間”をかけている。」−−−米


2017-18の秋冬コレクションで発表した「WAFUKUトレンチコート」は、京都服飾文化研究財団に収蔵されることになりました。着物のように畳める設計のコートですが、服飾文化の研究機関から声がかかったのは、デザインとパターンに縫製の技術がぴたりと合致したからだと思います。デザインの力だけでなく、縫製の技術と品質があってこその評価だと思っています。
サンヨーソーイングさんはボタン付けひとつとっても、他とは品質が異なります。細部に技術が表れているので、一度経験してしまうと他では頼めない。それでいて、横井社長と和田工場長は、ものづくりを楽しんでいる感じがある。新しい技術、新しい形状にも「とりあえずやります。」と挑戦する姿勢にはものをつくる“熱量“を感じます。こちらが伝えたことに対して、必要な情報がきちんと返ってくるので、コミュニケーションも非常にスムーズです。受け答えによって理解度がわかるので、お互いがプロとして付き合う上でとても重要なことです。
良い工場というのは、作業に入る前の段取りにきちんと体力を使っているという印象があります。量産に入る前に、生地の検査から裁断の確認、届いた型紙も、縫製する上でこれがベストなのかという検証を何度もかけることで、ものをつくる体制がつくられます。サンヨーソーイングさんは、裁ち合わせと呼ばれる生地をパーツごとに切り抜く作業でレディースとメンズの形状の違いを加味したり、生地が厚い分ゆとりを持たせたりと、とにかく縫製に入ってから問題が起きないように注意が行き渡っている。オーダーをそのままつくるのではなく、準備や検証に時間と手間をかけているからこそあの品質が生まれるのだと思います。出来ることなら店舗で接客する人間をサンヨーソーイングに連れて行って、ものがつくられる現場で品質を感じる機会を設けたいと思っています。

